MMORPG とガチャが融合するとどうなるか
※このコラムは以前 note に書いたものを移行してきたものです。
はじめに
ファイナルファンタジー14(以下 FF14)やドラゴンクエスト10(以下 DQ10)など PC/CS用MMORPG が大好きな私。PSO2ニュージェネシス(以下 NGS)も開始後すぐにプレイしはじめました。
それから 約 1年。どっぷりハマっているとまでは言えませんが、ほぼ毎日ログインするくらいには遊んでいます。
さてこの NGS、バトル関連以外のアイテム(以下 ファッションアイテム(注))は FF14や DQ10 などとは違ってほぼ全てガチャ(スクラッチ)から排出されます。
それを知ったときは特に気にも留めなかったのですが、その真の意味するところに気付いたのはプレイしはじめてしばらく経ってからでした。
是非はともかく MMORPG のゲームシステムの一つとして興味深いとは思ったので、今回は MMORPG とガチャの融合が何をもたらしたのか、プレイしてはじめてわかった FF14 や DQ10 との違いなどを書いてみます。
(注) ファッションアイテムについて
この文章ではバトル関連以外の主にガチャから排出されるアイテム、
・外見用の衣装
・外見用のアクセサリー類
・顔パーツ
・ロビーアクション(しぐさ、エモート)
・モーション(走行・飛行・着地・待機時等の姿勢)
などを便宜上「ファッションアイテム」とひとくくりに呼んでいます。
NGS でファッションアイテムを入手する方法は基本的には、
・自らガチャで入手する
・市場(マイショップ)に出品されたものを購入する
の二とおりです。(少数の例外有り)
1. ファッションアイテムの数は有限
FF14 や DQ10 ではイベント報酬などごく一部を除くほぼすべてのアイテムは好きな時に好きなだけ入手できます(個数制限があったりはしますが)。供給は無限と言ってよく、昔のアイテムであっても、使いたい時に入手する、ほしいときに入手する、といったことが可能です。市場価格は大半が時が経つと下落してゆき適度な価格で落ち着きます。
NGS ではファッションアイテムがゲーム内に生み出されるのはガチャで排出された場合のみ。そのガチャが終了した時点でゲーム内に出回るそのファッションアイテムの数は増えることがなくなります。(後に再販ガチャが行われる場合もある)
ガチャが終了したらあとは入手手段は市場でのプレイヤー間の売買のみ。基本的には価格は上昇してゆき、いずれは天文学的価格になったり市場から消えて入手不可となります。
昔のアイテムや人気のアイテムであるほど入手は困難で、使いたい時やほしい時に入手できるかわかりません。よって新しいガチャの度に今後使うかどうかわからないけどとりあえず入手しておくべきかどうかといった判断を迫られることになります。
NGS は FF14 や DQ10 とはアイテムの価値観が大きく異なるゲームでした。
2. フィールドプレイにボリュームがない
これはフィールドが広くないとか地形の出来がよくないとかそういったことではなく、フィールドでできることが少ないという話です。
NGS はファッションアイテムはほぼ全てガチャというフィールドプレイとは無関係のシステムから生み出され、ガチャの価値を維持するためフィールドプレイでの入手手段は用意されていません。(フィールドで金策をして市場で購入というルートもあるので全く切り離されているわけではないですが)
FF14 や DQ10 などのように、フィールド上の敵と戦って様々なファッションアイテムを得るということもないし、ダンジョンを攻略して様々なファッションアイテムを得るということもないし、ファッションアイテムを製作するためのクラフト素材を集めるといったこともありません。
NGS はやることがないとサービス開始当初から言われ続けています。明らかに準備不足でバトルコンテンツ自体が少なかったのもありますが、ファッションアイテムがガチャシステムから生み出され、フィールドプレイで生み出されるのはわずかな種類のバトル関連アイテムと換金アイテムくらいなので、そもそもフィールドプレイにボリュームを持たせることができないのです。
3. 公式RMTが非常に有効
NGS はガチャで入手したファッションアイテムは基本的に市場でゲーム内通貨(メセタ)で売買できるため RMT (リアルマネートレーディング)は普通に可能ということになります。
さらにガチャから排出されるファッションアイテムは他の手段で生み出されることがないこと、そしてフィールド上での金策による収入は抑え気味に設定されていることから、リアルマネーでガチャをして市場で売るという公式 RMT はゲーム内通貨を得る非常に有効な手段となっています。
FF14 や DQ10 なども正規の手順での RMT が不可能ではないですが、あくまでゲームシステムの小さな穴をつくような手法で、手間がかかったり効率がよくなく有効とはいえません。そもそもアイテムの価値がそれほど高くないのでわざわざ行うメリットがあまりなく、私自身もこれまで RMT とは無縁の MMORPG プレイ人生を送ってきたため、公式 RMT が非常に有効に機能する NGS のゲームシステムには驚きました。
この公式 RMT は、ゲーム内に出回るファッションアイテムの数が増えるという意味ではよいことですが、PtW (Pay to Win) にもつながるためなかなか評価は難しいところです。
おわりに
ガチャが搭載されソシャゲにかなり近い MMO ゲームである NGS が FF14 や DQ10 と大きく異なる部分をまとめてみました。
もし NGS に多少関心を持たれていてこれからはじめようとする方がいらっしゃったら、上記のような違いがあることを念頭に置いておくとあまり戸惑うことなく NGS のゲームシステムにも入ってゆけるかと思います。
上の文章だけだと NGS の印象が悪くなるだけのような気がするので一応補足すると、そのファッションアイテムはほぼ隔週でじゃんじゃんリリースされて種類もかなり豊富なので、コーデやキャラメイクに関してはとても楽しめる MMO ゲームです。(お金はかかるかもしれませんが……)